「ヒューマン・ファクター」(グレアム・グリーン著,早川書房)を最近読み終えました。
1978年に発表された,イギリス等を舞台にした,いわゆる「キム・フィルビー」物に分類されるであろう小説です。
本作では,著者らしく,たとえ裏切者になろうとも,国家よりも大事な大義等に誠実に生きようとする主人公等が,しっかり造形されており,エンターテーメントとして完成度が高いのは勿論,現代を描いた小説として,最後まで大変面白く読みました。
ちなみに,巻末「解説」によると,史上最も有名な二重スパイ(裏切者)である「キム・フィルビー」は,著者がイギリス情報部に所属していた際の直接の上司だったそうです。