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読んでみました「ゲットーに咲くバラ」

「ゲットーに咲くバラ」(トゥパック・アマル・シャクール著,丸屋九兵衛訳,パルコエンターテーメント事業部)を最近読み終えました。

ヒップポップMC・俳優として1990年代前半から大活躍しながらも,絶頂期の1996年ラスベガスで銃撃され,25歳で死亡したラッパーの作品をまとめた,「2パック詩集 新訳版」(副題)です。

英語の素養等がないので,翻訳がどうかなと思える部分はありましたが,著者自身の手書きの詩(当然英語)を左ページに,その翻訳を右ページに配する端正な構成で,読みやすく,大変面白く読みました。

なお,アメリカのローリングストーン誌が,2011年に選んだ,「もっとも偉大なアーティスト100」では,第86位になっていますが,生き様を含めて,いろいろと考えながら読みました。

配偶者居住権について⑤

前回に引き続き,配偶者居住権について説明をします。

【居住建物の転貸】

配偶者は,居住建物の所有者の承諾を得なければ,第三者に居住建物の使用若しくは収益をさせることはできない。

 

【居住建物の増改築】

配偶者は,居住建物の所有者の承諾を得なければ,居住建物の改築・増築をすることはできない。

 

【建物の修繕】

配偶者は,居住建物の使用及び収益に必要な修繕をすることができるが,配偶者が相当な期間に必要な修繕をしないときは,居住建物の所有者において修繕することができる。

 

【費用負担】

配偶者は,居住建物の通常の必要費を負担する。

「通常の必要費」とは,使用貸借における「通常の必要費」と同一の概念であり,修繕費のほか,居住建物やその敷地の固定資産税等が含まれる。

また,居住建物の所有者が,納税義務者として,土地建物の固定資産税を納付した場合には,配偶者に対して求償できることになる。

 

次回は,対抗力についてお話します。

読んでみました「グレート・インフルエンザ」

「グレート・インフルエンザ」(ジョン・バリー著,共同通信社)を昨日読み終えました。

1918年から1920年にかけて,パンデミック状態となり世界中で猛威を振るい,本書によれば,5000万人から1億人の死者の被害等を与えた,いわゆる「スペインかぜ(スペイン・インフルエンザ)」についての顛末を描いたノン・フィクションです。

内容的には,研究者の動向に重きを置き過ぎている感はしましたが,一応ニュージャーナリズムのレベルには達していると思われ,また,3波に分かれた襲来に翻弄される様は叙事詩的悲劇に思え,さらに,只今,パンデミックに直面している我々には過去の歴史だと看過しえず,大変面白く読みました。

特に,現在の日本のように,無能な当局の対応のため,壊滅していくフィラデルフィア市の惨状や,乗客・乗員から多数の死者を出し続けながら船舶による輸送が続けらた事実等,約100年前の出来事ですが,生きていくために非常に勉強になりました。

配偶者居住権について④

前回に引き続き,配偶者居住権について説明をします。

【配偶者居住権の法的性質】

配偶者居住権は,賃借権類似の法定の債権であり,債権者は配偶者であり,債務者は居住建物の所有者(共有である場合には共有者全員)である。

 

【居住建物の使用及び収益】

配偶者(配偶者居住権を取得した配偶者に限る。以下,同じ。)は,配偶者居住権に基づき,「無償」で居住建物の「全部」を「使用及び収益」することができる もっとも,配偶者は,居住建物の所有者の承認を得なければ,第三者に居住建物を使用又は収益させることはできない(民法1032条3項)

 

【用法遵守義務】

配偶者は,従前の用法に従い,善良な管理者の注意をもって,居住建物の使用及び収益をしなければならない(民法1032条1項)。

 

【譲渡禁止】

配偶者居住権は,譲渡することができない(民法1032条2項)。

 

次回は,居住建物の転貸・増改築・費用負担等についてお話します。

 

読んでみました「ビール」

「ビール」(パルコエンターテーメント事業部)を最近読み終えました。

日本の小説家等41名が,ビールについて書いた随筆等をまとめたアンソロジーです。

中には,これはどうしようもないと思った作品もありましたが,概ね楽しく読みました。

特に面白かったのは,何回読んでも大変楽しく読める,東海林さだお作「生ビールへの道」と,内田百閒作「タンタルス(上)」でした。

配偶者居住権について③

前回に引き続き,配偶者居住権について説明をします。

【成立条件】

①配偶者が,相続開始の時に,遺産である建物に居住していたこと。「配偶者」とは,法律上被相続人と婚姻していた者に限られ,内縁の配偶者は含まれません。「居住していた」とは,配偶者が当該建物を生活の本拠としていたことを意味します。一時的に入院していた,施設に入所していた,親戚宅に同居していた場合で,家財道具等を置いたままであるなど,病気や体調不良などを理由とする一時的なものといえるに過ぎない場合には,実質的には「居住していた」ものと認めるのが相当であるとされています。

②当該建物が,被相続人の単独所有あるいは配偶者と2人の共有にかかるものであること。被相続人が居住建物を相続開始の時に第三者(配偶者以外の者)と共有していた場合は,配偶者居住権は成立しない。

③当該建物について,配偶者に配偶者居住権を取得させる旨の遺産分割,遺贈または死因贈与がされたこと。

次回は,配偶者居住権の効力について,お話します。

読んでみました「Yの悲劇」

「Yの悲劇」(エラリー・クイーン著,角川文庫)を最近読み終えました。

1932年に発表された,引退した名優ドルリー・レーンを主人公にしたシリーズ4部作のうち,2作目で,ニューヨークを舞台にしたミステリーの新訳版です。

日本では,異常に傑作扱いされていますが,1990年に英国推理作家協会が出した「史上最高の推理小説100冊」でも,1995年にアメリカ探偵作家クラブが出した「史上最高のミステリー小説100冊」でも,共に圏外になっており,内容のおどろおどろしさ?等が,単に日本人受けしているのだと思います。

内容的には,約40年前に最初に読んだ際と同様に,そもそも設定等がデコーレーション過剰に思え,また,私にはどうでもよいと思われる部分が,詳しく展開されており,興醒めし,さらに,真相の解明がご都合主義そのものに思え,先日再読した,クリスティーの「ねじれた家」の方が,はるかに良く出来ていると思いました。

配偶者居住権について②

前回に引き続き,配偶者居住権について説明をします。

配偶者居住権の取得と他の財産の取得との関係についてです。

生存配偶者が配偶者居住権を取得した場合は,その財産的価値に相当する金額を取得したことになります。したがって,配偶者は居住建物以外の遺産からは,自己の具体的相続分から配偶者居住権の財産評価額を控除した残額について取得することになります。

例)

配偶者居住権の取得と遺産分割の考え方です。

被相続人の相続人は,妻と子ども2人とします。

遺産は,被相続人所有の敷地,同敷地上に存在する建物(本件居住建物といいます),預貯金

投資信託,株式です。

妻は,本件居住建物に被相続人と共に居住していました。

遺産総額は,1億円とします。

建物敷地の現在価値は4200万円あり,預貯金が3200万円,投資信託が1600万円,

株式が1000万円です。

妻は,本件居住建物の所有権を取得するよりも,遺産分割により,配偶者居住権を取得したい上で、さらに,それ以外の金融資産を取得したいと思っています。

他の相続人である子どもらは,母親が配偶者居住権を取得することについて合意しています。

そこで,相続人全員で配偶者居住権の価額につき1500万円とする旨の合意をしました。

妻は,遺産分割において取得できる具体的な相続分額はいくらになりますか。

→妻の具体的な相続分額は5000万円(1億円×1/2=5000万円)です。

そして、妻は,配偶者居住権(1500万円)を取得するから,本件居住建物以外の遺産からは3500万円(5000万円-1500万円=3500万円)について財産を取得することになります。

ここで,もし,妻が配偶者居住権を取得せず建物敷地の所有権(4200万円)を取得することになると,妻は,800万円(5000万円-4200万円=800万円)の金融資産を取得するにとどまってしまうことになります。

次回も配偶者居住権について引き続き説明します。

読んでみました「第二次大戦の<分岐点>」

「第二次大戦の<分岐点>」(大木毅著,作品社)を最近読み終えました。

ドイツ軍関係の著作を持つ著述家が,第二世界大戦について雑誌等に掲載したものや,学術論文等をまとめた作品です。

私が読んだのは,1刷でしたが,独ソ戦における,ドイツ軍「北方軍集団」を扱った部分では地図の,また,北アフリカの戦闘について記した部分には地名の,明白な誤り等があり,残念でした。

しかし,体系的な作品というより,ぶつ切り的な記述を綴った内容ですが,全体的に,一次資料を重視して,冷静に対象者を扱っている姿勢は,信頼でき,最後まで非常に面白く読みました。

特に,私も何作か読んだ,戦記物の著作家「パウル・カレル(本名 パウル・カール・シュミット)」の実像を明らかにした部分は,以前から抱いた疑念が解消でき,大変勉強になりました。

読んでみました「海鳴り(上・下)」

「海鳴り(上・下)」(藤沢周平著,文春文庫)を最近読み終えました。

江戸を舞台に,いわゆる「中年の危機(ミッドライフ・クライシス)」に直面した商人らを主人公にした小説です。

本作は,著者としては円熟期に書かれた作品で,大好きな彫師伊之助シリーズの「ささやく河」にも通じる内容で,最後まで大変面白く読みました。