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読んでみました「楽園の島と忘れられたジェノサイド」

「楽園の島と忘れられたジェノサイド」(倉沢愛子著,千倉書房)を最近読み終えました。

実際には1965年10月1日未明に発生したいわゆる「9・30事件」を契機にして,スカルノ大統領からスハルト陸軍司令官に実質的に政権が移譲された,翌1966年3月11日のいわゆる「3・11政変」後の,1966年半ばまで発生した,インドネシア全体で犠牲者が100万人とも200万人ともいわれるジェノサイドを,観光地として著名で,インドネシアの中では例外的にヒンドゥー教徒が多数を占める,バリ島に絞って描いた作品です。

用語の不統一や,明らかな誤記等があり,残念でした。

しかし,著者が,現地の研究者や犠牲者の遺族の協力を得て,丹念にインタビュー等を重ねた成果が表れており,日本のノン・フィクションの市場等からすると,望外の作品だと思え,最後まで非常に興味深く読みました。

特に,名作映画「危険な年」がジャカルタにおける「9・30事件」発生直前の非常に緊迫した世相を描いているのに対し,本書は,当時は農村だったバリ島でも緊張が異様に高まっていた状態と,「9・30事件」後の時機遅れのある事件を発端にした信じがたい虐殺の数々が記されており,当時の島の人口160万人中約8万人が虐殺された「バリに眠る狂気の記憶をめぐって」(副題)考えることが出来,貴重な読書になったと思いました。