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カテゴリー別アーカイブ: 代表弁護士のブログ

読んでみました「ヒューマン・ファクター」

「ヒューマン・ファクター」(グレアム・グリーン著,早川書房)を最近読み終えました。

1978年に発表された,イギリス等を舞台にした,いわゆる「キム・フィルビー」物に分類されるであろう小説です。

本作では,著者らしく,たとえ裏切者になろうとも,国家よりも大事な大義等に誠実に生きようとする主人公等が,しっかり造形されており,エンターテーメントとして完成度が高いのは勿論,現代を描いた小説として,最後まで大変面白く読みました。

ちなみに,巻末「解説」によると,史上最も有名な二重スパイ(裏切者)である「キム・フィルビー」は,著者がイギリス情報部に所属していた際の直接の上司だったそうです。

読んでみました「蛍草」

「蛍草」(葉室麟著,双葉文庫)を最近読み終えました。

2012年に刊行された,著者の作品の設定として多い,江戸時代の地方の小藩を舞台にした時代小説です。

本作は,巻末「解説」に記されているとおり,著者の「他の歴史・時代小説に比べると、明らかにエンターテイメント色が強い」双葉文庫の2作目で,「日本晴れの読み心地を約束する」(裏表紙コピー)とまでは思いませんでしたが,バランスの取れた内容で,最後まで楽しく読みました。

特に,脇役らについて,朝のテレビ小説かと思える安易な設定で各々登場しますが,作品が進む連れて,それなりにしっかり造形されていき,また,内容上の使い方も,リリーフ役に徹しており,感心しました。

読んでみました「ベルリン陥落 1945」

「ベルリン陥落 1945」(アントニー・ビーヴァー著,白水社)を昨日読み終えました。

イギリスの歴史作家が記した,第二次世界大戦のヨーロッパ戦線において,実質的に,(不謹慎な言い方かもしれませんが)掉尾を飾った,ベルリン攻防戦を主に描いたノンフィクションです。

ノンフィクションのレベルとしては,最高度とは言えませんが,2004年に発表された作品なので,ソ連崩壊後の資料も十分に使われており,内容的には,十二分で,最後まで大変面白く読みました。

特に,最期を迎えたドイツ側の人々の行動は,まさに人間性の多様さを示しており,いろいろと考えることが出来,非常に意義深かったです。

読んでみました「ブラック・マネー」

「ブラック・マネー」(ロス・マクドナルド著,ハヤカワ・ミステリ文庫)を最近読み終えました。

日本ではアメリカハードボイルド小説の王道を行くとされている著者の,私立探偵リュー・アーチャーを主人公にした代表的シリーズの第14作目です。

本作は,1966年に発表された作品で,全盛期3部作のあとに書かれた作品です。

原題そのままの題名が,現在でも犯罪関係の用語としてポピュラーな存在なとおり,内容的にも,途中までは定型的な感じで進み,全盛期を過ぎるとダメになったかな?と思いましたが,後半は,俄然ロス・マクドナルド調の展開となり,最後まで,大変面白く読みました。

読んでみました「川あかり」

「川あかり」(葉室麟著,双葉文庫)を昨日読み終えました。

2011年に刊行された,著者の作品の設定として多い,江戸時代の地方を舞台にした時代小説です。

まず,主な場所を,江戸から該当小藩に至る,川止めで多くの人が滞在する川のほとりに限定し,また,川止めが解ければクライマックスに至るであろうと予見可能性を持たす等の,具体的な設定が,大変素晴らしいと思いました。

他方,内容的にも,工夫された造形の脇役達に揉まれ,臆病者の主人公が一廉の人物となる,コミカルな教養小説的な展開で,良く練られていると思われ,最後まで面白く読みました。

読んでみました「遠い島 ガダルカナル」

「遠い島 ガダルカナル」(半藤一利著,PHP研究所)を昨日読み終えました。

昭和17年(1942年)8月から,翌昭和18年(1943年)2月にかけて,遥かニューギニア島東方のソロモン諸島の島で戦われた戦闘を記した作品です。

資料の関係から仕方ないのでしょうが,どうしても,陸海軍の首脳や幕僚達の描写が多く,最前線で空しく戦い,帰還も叶わず倒れた人々の記述が手薄だったのが,残念でした。

しかし,そもそも開戦の理由からして不分明なように,海軍と陸軍の思惑がバラバラな中,日本から最も遠い一島で,激しい消耗戦を繰り広げた愚行の数々を,時に熱く概ね冷静に描いており,大変興味深く読みました。

 

 

読んでみました「SS-GB」

「SS-GB」(レン・デイトン著,早川書房)を最近読み終えました。

1978年に発表された,いわゆる「歴史改変SF」に分類される作品で,第二次世界大戦でドイツがイギリスに上陸し,1941年2月にイギリスが降伏した後の,1941年11月ころのロンドン等を舞台にした,アクション・ミステリ小説です。

著者が得意の冷戦スパイ物を素地とした作品と思われ,ドイツ占領下のイギリスの生活が生々しく描かれており,また,副主人公格の人物造形もしっかりしており,最後まで大変面白く読みました。

なお,題名の「SS-GB」とは,巻末の「訳者あとがき」によると,「”イギリス本土駐留ドイツ親衛隊”といったほどの意味」だそうです。

読んでみました「風の果て(上・下)」

「風の果て(上・下)」(藤沢周平著,文春文庫)を昨日読み終えました。

18世紀後半から,19世紀にかけてのころ,著者得意の東北の小藩を舞台にした,時代小説です。

著者の多作にもある,老年に達した主人公の回想を交えた展開で,約30年ぶりに読みましたが,加齢に伴う述懐等が身に沁み?,最後まで大変面白く読みました。

読んでみました「関ヶ原大乱、本当の勝者」

「関ヶ原大乱、本当の勝者」(日本史史料研究会監修,白峰旬編)を最近読み終えました。

軍記物等を基にした,「従来のイメージを打破」すべく,12名の気鋭の研究者が記した作品です。

いわゆる「関ヶ原の戦い」について新説を唱える編者の考え方を,全ての著者が支持しているわけではないですが,それぞれ,一次資料を検証しつつ描く姿勢は素晴らしく思え,また,「関ヶ原の戦い」のみではなく,当時の状況を全国的な争乱として捉える考えも的確に思え,大変面白く読みました。

特に,巻末の,編者による,「関ヶ原の戦い」の5日後に,息子宛に書かれた,元関白・太政大臣近衛前久の書状の分析は,もうちょっと長く記してほしかったですが,非常に興味深く読みました。

読んでみました「マギンティ夫人は死んだ」

「マギンティ夫人は死んだ」(アガサ・クリスティー著,クリスティー文庫)を最近読み終えました。

1952年に発表された,著者にとって42作目の長編で,いわゆる,いわゆるポアロシリーズとしては,24作目の長編です。

登場人物が多く,また,新聞記事等も大事な要素となるので,かなりバタバタした内容となっており,著者らしい,一種の端正が感じられず,残念でした。

しかし,舞台劇作家としても鳴らした著者らしく,冒頭の設定は,定番と言えばそれまでですが,定石は踏んでおり,また,フーダニット物として,カタストロフィは十分に味わえ,さらに,ポアロの食事シーン等笑える部分もあり,最後まで面白く読みました。