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カテゴリー別アーカイブ: 代表弁護士のブログ

読んでみました「太平洋戦争の名将たち」

「太平洋戦争の名将たち」(保阪正康外著,PHP新書)を最近読み終えました。

本書は,月刊誌「歴史街道」に掲載された作品13編と,書下ろし2編の合計15編からなっています。

取り上げられている名将は,海軍から山本五十六・山口多聞・角田覚治,陸軍から中川州男・栗林忠道・今村均の合計6名です。

7名の著者の作品が収められていますが,保阪正康と早坂隆の作品が非常に興味深く,また,取り上げられている人物としては,よく語られる山本五十六・山口多聞以外の4人の生き様に感銘を受けました。

読んでみました「白い旗」

「白い旗」(水木しげる著,講談社文庫)を最近読み終えました。

「ゲゲゲの鬼太郎」等で知られ,太平洋戦争中に従軍し重い戦傷を負った著者が描いた,戦記マンガ「白い旗」・「ブーゲンビル上空涙あり」・「田中頼三」・「特攻」の4編を収めた作品です。

「あとがき」によると,著者の苦境時代に,貸本マンガ用に描かれた作品で,奇跡的に残っていた冊子を元に作られた経緯も含めて,大変面白く読みました。

特に,単なる戦争反対に留まらず,戦争中のいろいろな人々をそのまま描いていると思え,非常に興味深く読みました。

読んでみました「楽園の島と忘れられたジェノサイド」

「楽園の島と忘れられたジェノサイド」(倉沢愛子著,千倉書房)を最近読み終えました。

実際には1965年10月1日未明に発生したいわゆる「9・30事件」を契機にして,スカルノ大統領からスハルト陸軍司令官に実質的に政権が移譲された,翌1966年3月11日のいわゆる「3・11政変」後の,1966年半ばまで発生した,インドネシア全体で犠牲者が100万人とも200万人ともいわれるジェノサイドを,観光地として著名で,インドネシアの中では例外的にヒンドゥー教徒が多数を占める,バリ島に絞って描いた作品です。

用語の不統一や,明らかな誤記等があり,残念でした。

しかし,著者が,現地の研究者や犠牲者の遺族の協力を得て,丹念にインタビュー等を重ねた成果が表れており,日本のノン・フィクションの市場等からすると,望外の作品だと思え,最後まで非常に興味深く読みました。

特に,名作映画「危険な年」がジャカルタにおける「9・30事件」発生直前の非常に緊迫した世相を描いているのに対し,本書は,当時は農村だったバリ島でも緊張が異様に高まっていた状態と,「9・30事件」後の時機遅れのある事件を発端にした信じがたい虐殺の数々が記されており,当時の島の人口160万人中約8万人が虐殺された「バリに眠る狂気の記憶をめぐって」(副題)考えることが出来,貴重な読書になったと思いました。

読んでみました「プリニウスⅡ」

「プリニウスⅡ」(マザキマリ,とり・みき著,新潮社)を最近読み終えました。

著名漫画家らがタッグを組んで?書いた,紀元後1世紀に活躍したローマ帝国の博物学者等の「ガイウス・プリニウス・セクンドゥス」,を主人公にした著名マンガの2巻目です。

主人公がローマに召喚され,悩める皇帝ネロとの確執等の交わりを通じて,当時のローマ社会の問題点を浮き彫りにする内容で,大変面白く読みました。

読んでみました「エムエス 継続捜査ゼミ2」

「エムエス 継続捜査ゼミ2」(今野敏著,講談社)を最近読み終えました。

多作を誇る著者のシリーズの一つで,元警察学校校長を務めたこともある警察出身の,女子大教授を主人公としたシリーズの第2弾です。

著者の作品に共通している,①主人公を含め,登場人物の造形が薄く,②ストーリー上無意味な議論が延々続き,③肝心のミステリー部分は,偶然的に解決するため,④ストーリー自体は簡明で,短時間で読了できる,という特徴が十分に露になっている作品で,淡々と楽しく速やかに読みました。

読んでみました「カッティング・エッジ」

「カッティング・エッジ」(ジェフリー・ディーヴァー著,文藝春秋)を最近読み終えました。

著者の代表的シリーズである,身体障害者の天才科学捜査官であるリンカーン・ライムを主人公としたシリーズの第14作目で,2018年に発表された,翻訳ベースではたぶん最新作です。

本シリーズのここ何作かや,ここ何年間に翻訳された著者の他作品らは,明らかに不調で,本作の出来も危惧していましたが,本書は原点に戻った内容で,その分,人物造形が浅い,クライマックスがどこか特定出来ていない等の欠点はあるものの,完成度はそれなりに高いと思いました。

具体的には,(巻末「訳者あとがき」から)著者が国際スリラー作家協会のオンラインマガジンに寄稿した「ディーヴァー作品の必勝フォーマット」,つまり,①「何が起きたのかを振り返って解き明かす推理小説ではなく、このあとどうなるのか、何が起きるのかに読者の興味を惹きつけるスリラー小説であること」,②「事件発生から解決まで三日ほどの短期決戦であること」,③「データマイニングやイリュージョン、今作のダイヤモンド業界など作品ごとのテーマを明示すること」,④「最低三つはひねりを用意すること」「を主軸として踏襲しつつ、作品ごとに異なる要素を盛りこんで肉付けしていく」に沿って本書は書かれており,最終解決まで四日かかっているとは思いましたが,最後まで大変楽しく読みました。

読んでみました「ドイツ軍攻防史」

「ドイツ軍攻防史」(大木毅著,作品社)を最近読み終えました。

第一次世界大戦の「マルヌ会戦から第三帝国の崩壊まで」(副題)における,表題の点から見た,重要事実等について記した作品です。

著者の他作と同様に,通史的な内容ではありませんが,ソ連崩壊後に公開された情報や,欧米の最新の研究成果等を踏まえて,しっかりとした資料批判の上に,現在の知見を描いており,非常に面白く読みました。

特に,第一次世界大戦の推移が良く理解でき,これまでの認識を一新できる部分が多く,大変勉強になりました。

読んでみました「敗走記」

「敗走記」(水木しげる著,講談社文庫)を昨日読み終えました。

「ゲゲゲの鬼太郎」等で知られ,太平洋戦争中に従軍し重傷を負った著者が描いた,戦記マンガ「敗走記」・「ダンピール海峡」・「レーモン河畔」・「KANDERE」・「ごきぶり」・「幽霊艦長」の6編を収めた作品です。

各作とも,それぞれ持ち味があり大変面白く読みましたが,特に,日本軍が進出した南方での現地の女性との関わり合いを描いたが,「レーモン河畔」と「KANDERE」の2編を,非常に興味深く読みました。

読んでみました「世界推理短編傑作集 1」

「世界推理短編傑作集 1」(江戸川乱歩編,創元推理文庫)を昨日読み終えました。

1950年代後半に編者により編まれ,1960年以降発刊された「世界短編傑作集」全5巻を,60年ぶりにリニューアルした新版の第1巻です。

具体的には,1844年発表のエドガー・アラン・ポオ作「盗まれた手紙」から,1905年発表のジャック・フットレル作「十三号独房の問題」までの,8作が発表年毎時系列に沿い収められています。

私も旧版で読みましたが,読んだ記憶の無い作品があったり,また,新訳の作品もあり,大変楽しく読みました。

特に, 印象的だったのは,1858年発表のウィルキー・コリンズ作「人を呪わば」の風刺は現代日本にも十二分に通用し,教科書に採用すれば多少は益しになるかもと思われたことと,1895年発表のアンナ・キャサリン・グリーン作「医師とその妻と時計」が,その出来の酷さ・一方的人物造形・厚顔無恥のご都合主義的展開等の点において,現代日本のミステリーにそっくりなことでした。

読んでみました「満州 集団自決」

「満州 集団自決」(新海均著,河出書房新社)を最近読み終えました。

元編集者で多くの著作を持つ著者が,1945年8月以降,日本国に遺棄されたため,数多く発生した在満州日本人の自決・殺害事件の中でも,時期・人数の酷烈さで際立つ,敗戦から一か月以上経過した1945年9月17日未明に行われた,満州瑞穂開拓団495名の集団自決事件を主に描いたノン・フィクションです。

本書だけなく,日本のノン・フィクションはほぼ全てそうですが,ニュージャーナリズムの域には遠く及ばず,また,本書執筆のための独自取材はかなり少なく,さらに,日本語の文書として完成度は高くなく,大変残念でした。

しかし,「開拓団を守るべき軍隊はいち早く逃走し、切り捨てられた二七万人の満蒙開拓団員は、避難民となり、広野や山脈での、絶望的な彷徨の末、自ら死を選ぶという集団自決をはじめ、多くの悲劇が生じた。 中でも瑞穂村の集団自決は他の開拓団とは様相が異なっていた。サイパンや沖縄のような戦場での自決ではなく、またソ連軍の砲火も一度として浴びていない。数千人の中国人に囲まれる中、自分たちの開拓村に留まって、四九五名もの人々が死を選んだ」(第一章最終ページ)経緯は,不十分ながらも認識でき,また,自決はしなかった約655名の瑞穂開拓団村民のうち,敗戦から1年後の1946年8月時点で祖国に引き揚げられたのは,わずか118名に過ぎなかったという事実等も記されており,さらに,(現地で何とか生き残った人々も含めた)村民の戦後の生きざまも丁寧に描かれ,非常に感銘を受け,興味深く読みました。