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カテゴリー別アーカイブ: 相続ブログ

「相続分の譲渡と相続税④」

第三者への無償譲渡

第三者に対して相続分が譲渡された場合,遺産分割の遡及効はそのまま適用されるわけではなく,相続分譲受人は,譲渡人が相続人たる地位において承継取得した財産を,譲渡人から承継取得したことになります。つまり,譲受人たる第三者が,相続財産の持分を取得するのは,相続によるものではなく,相続分の譲渡という人為的な行為によるものですので,譲受人には相続税は課されず,譲渡人である相続人に相続税が課されます。但し,第三者に対して相続分が無償で譲渡された場合,譲渡人が相続人たる地位において取得した財産を,譲渡人から無償で取得するわけですから,相続人から財産の贈与を受けたものとして相続分の譲受人には贈与税が課せられます。

 

 

「相続分の譲渡と相続税③」

共同相続人への有償譲渡

共同相続人に対して相続分が有償で譲渡された場合,譲渡対価の扱いが問題となります。これについては,相続分の譲受人の課税価格について,相続により取得した財産の価額から相続分の譲渡に伴う負担を控除した金額とする裁判例があり,代償分割における代償財産の取扱と同様になっています。したがって,相続分を譲渡した相続人は,相続により取得した財産の価額に相続分の譲渡対価を加えた額が課税価格となります。

 

「相続分の譲渡と相続税②」

共同相続人への無償譲渡

譲渡人及び譲受人は,相続分の譲渡によって変動した相続分を基にされた遺産分割の結果に従い,相続税の納税義務を負うことになります。

つまり,相続分の全部を無償で共同相続人に譲渡した相続人は,相続によって取得する財産はありませんので,相続税の納税義務を負いません。

「相続分の譲渡と相続税①」

相続分の譲渡は,遺産を分割する前であれば,他の相続人や第三者に対して有償無償を問わず可能です。

課税関係を考える上では,相続分の譲渡が,共同相続人に対してされたのか第三者に対してされたのかという,譲渡の相手方による違いと,無償か有償かを分けて考える必要があります。

次回にて引き続きご説明します。

「遺産分割が未了の場合の相続税の申告」

相続税の申告書を提出する場合において,遺産が未分割のときは,その分割されていない財産については,各共同相続人又は包括受遺者が民法(904の2を除く)の規定による相続分又は包括遺贈の割合に従ってその財産を取得したものとして相続税の課税評価を計算します。

「民法(904条の2を除く)の規定による相続分」とは,民法900条から903条までに規定する法定相続分,代襲相続分,指定相続分及び特別受益者の相続分をいうものとされています。

ただしその後,当該未分割財産の分割があった場合は,当該分割による課税価格を基礎として,修正申告書の提出若しくは更正の請求をすることができます。この規定は,分割後の修正申告や更正の請求を強制するものではありません。

相続税の総額は,本来,分割によって変動するものではありませんので,相続人全員が修正申告や更正請求をしなければ,未分割の状態で申告した税額のまま課税関係は終了します。

しかし,配偶者の税額軽減や小規模宅地の特例等は,未分割の財産には適用されませんので当初の相続税の申告書に「申告期限後3年以内の分割見込書」を添付し,分割後に更正の請求をすることにより適用することになります。

「相続分と相続税の関係」

相続税は,相続又は遺贈により財産を取得したすべての者の相続税の総額を計算し,その総額を基礎として,それぞれこれらの事由により財産を取得した者に係る相続税額を計算します。

相続税の総額は,相続税の課税価格の合計額から基礎控除額を控除した金額をその被相続人の法定相続人が,法定相続分に応じて取得したものとした場合における各取得金額について,それぞれ税率を乗じて計算した金額の合計額です。

そして,各相続人が負担すべき相続税額は,相続税の総額にそれぞれの相続税の課税価格がすべての者の課税価格の合計額のうちに占める割合に乗じて算出した金額です。

つまり,法定相続分は相続税の総額を計算する段階で使用されますが,各人の相続税は,実際の遺産の取得額に応じて割り当てられるという計算構造になっています。

「代襲相続の相続税額への影響」

代襲相続により相続人の範囲に変更が生じ,基礎控除額,相続税の総額を計算する場合の相続分などが影響を受けます。

(例)

被相続人Aが死亡し,相続人がB1人だけである場合

基礎控除額は,3000万円+600万円×1人=3600万円

しかし,相続開始時にBが既に死亡しておりBの子であるCDが代襲相続人となっていた場合には相続人が2人となり,この場合の基礎控除額は3000万円+600万円×2人=4200万円となります。このように代襲相続人により相続人が変わると税額も変わることとなります。

「胎児の相続権と税法上の扱い」

生まれてきた胎児に相続権が認められる以上,胎児についても,相続財産について相続税の申告をする必要があります。胎児の申告期限は,相続開始時から10か月以内ではなく,胎児の法定代理人(一般的には父・母)がその胎児の生まれたことを知った日の翌日から10か月以内となっています。

【メモ】

未成年者である相続人が相続又は遺贈により財産を取得した場合,10万円に20歳に達するまでの年数を乗じて算出した金額を未成年控除として相続税額から控除することができます。よって,胎児の未成年者控除額は200万円です(10万円×20年=200万円)。なお,胎児の未成年者控除額が胎児の相続税額を超える場合には,その超える金額はその胎児の扶養義務者の相続税額から控除することができます。

「養子の相続権と税法上の違い②」

相続又は遺贈により財産を取得した者が被相続人の1親等の血族及び配偶者以外の場合には,税額が2割加算されます。養子については被相続人の1親等の法定血族であり,2割加算の適用を受けません。 但し,被相続人の直系卑属が当該被相続人の養子となっている場合(代襲相続人を除く),つまり孫養子等の場合には相続税額の加算の規定が適用されます。

「養子の数の制限と実子とみなされる場合」

養子縁組をして法定相続人を増やすことによる節税が考えられますが,無制限に養子を相続人に含めることを認めると,相続税額を不当に減少させる結果となるおそれがあります。そこで、相続税法においては,相続人に含める養子の数を制限しています。

①被相続人に実子がある場合又は,被相続人に実子がなく,養子の数が1人である場合は,1人。

②被相続人に実子がなく,養子の数が2人以上である場合は,2人。

【実子とみなされる場合】

以下の養子は,実子とみなして上記の規定が適用されます。

①特別養子縁組により養子となった者

②被相続人と配偶者との婚姻前に当該配偶者の特別養子となった者で,婚姻後に被相続人の養子となった者

③被相続人の配偶者の実子で,被相続人の養子となった者

④代襲相続人

※代襲相続人であり,被相続人の養子となっている者は,実子1人として計算します。